2011年2月19日土曜日

『夜露死苦現代詩』(都築響一 新潮社)

 この週末読んだ本だ。

 村上春樹『雑文集』に紹介されていて興味を持ったのだ。また『ヤンキー文化論序説』や『地球のはぐれ方』で著者を知っていたこともある。

 読んでみて、なるほど村上春樹が著者を「サブカルの山頭火」と評したのも分かる気がした。面白さを説明する言葉は的確で説得力がある。異才の持ち主だと思う。

 ここで取り上げられている様々な現代詩、というか詩的言語-寝たきり老人の独語、暴走族の特攻服の刺繍など-がマイナーな場所で名も知れず生きている様には、何ともいえない感慨を覚えるのではないか。

 

2011年2月13日日曜日

『邪馬台国の滅亡』(若井敏明 吉川弘文館)

 最近読んだ本だ。これも、井上章一が昨年のベスト3に挙げていて、前から読もうと思っていたのだ。

 古事記、日本書紀を読み込んだ邪馬台国九州説なのだが、なかなか説得力がある。最近、大和の纒向(まきむく)遺跡が発見され、卑弥呼の宮殿かとマスコミに取り上げられている。しかし、その様子は古事記、日本書紀が伝える崇神、垂仁、景行の宮殿を想起させる。つまり纒向は初期大和政権の本拠地だったのではないかと、著者は考えている。

 倭国は九州北部の小さな地方政権で、これが女王国として中国へ伝えられたというのだ。

 個人的には、畿内説が有力と思ってきたのだが、これを読んで少しあやしいのではないか、とも感じた。この論争はまだまだ続くのだろうか。 

2011年2月6日日曜日

2月の読書

 最近読んだ本だ。

1.『村上春樹 雑文集』(村上春樹 新潮社)
2.『謎解き 太陽の塔』(石井匠 幻冬舎新書)
3.『岡本太郎という思想』(赤坂憲雄 講談社)

 1は未発表のエッセイや挨拶、解説などをまとめたものだが、非常に読み応えがあり楽しめた。著者はちょうど小説と小説の間の「農閑期」とのこと。そのためこうした本の編集ができたのだろうが、何度も書いていることだが、R・チャンドラーの翻訳も是非、進めてほしいと思うのだ。

 2は日経新聞日曜の書評で取り上げられて、面白そうなので読んでみた。結論はともかく、全体的にはまあまあ納得できた。太陽の塔には、昔から妙に関心があるのだが、何故だろうか。3はそれに関連しての本。

2011年1月15日土曜日

1月の読書など

 今月読んだ本のことを書こう。

1.『宗教で読む戦国時代』(神田千里 講談社選書メチエ)
2.『夜想曲集』(カズオ・イシグロ 早川書房)
3.『サンキュー・ジーヴス』(P・G・ウッドハウス 図書刊行会)

 1は、井上章一が日経新聞書評で昨年のベスト3に挙げていた本の1冊だ。非常に読み応えがあり、戦国時代の宗教史のものでは白眉だろう。日本的な「天道思想」と、一向一揆の弾圧、キリスト教禁教などの背景の分析が鋭い。3は相変わらず面白くて、ストレス解消になるのだが、これでウッドハウスの刊行されている本は殆ど読んでしまった。まあ毎年1冊は刊行されそうなので期待しよう。

2011年1月10日月曜日

初詣-明治神宮-など

 1月9日は、午前中に妻と明治神宮に行ってきた。最近、初詣は明治神宮に行くことが多い。

 風もない暖かな晴れの日で、気持ちよく参拝することができた。清正井に寄ろうと思ったのだが、昨年同様すごい行列で止めにした。相変わらずの人気だが、いつまで続くのでしょうか。

 写真を撮ったのでアップしておこう。


2011年1月3日月曜日

冬の京都-はやしや-など

 年末に帰省した際、いつものように家族で京都に行った。三条大橋付近の「はやしや」で昼食をとった後、銀閣寺に行く予定だったのだが、あまりに寒くまた雨が降ってきたこともあり、銀閣寺はキャンセルした。

 翌日は雪になったので、まだこの日は良いほうだったかもしれない。「はやしや」で茶そばと葉茶ごはんなどを食べながら、鴨川や比叡山を見るのが、帰省した時の楽しみなのだ。

 「はやしや」からの比叡山方面と、三条大橋からの鴨川の写真を貼っておこう。


正月の読書  『私を離さないで』

 明けましておめでとうございます。

 この正月は、カズオ・イシグロの『私を離さないで』を読んでいた。この著者の作品は、これ以外全て読んでいるのだが、(『日の名残り』が最も気に入っている)『充たされざる者』、『私たちが孤児だったころ』がいまひとつ面白くなかったこともあり、これも読んでいなかったのだ。

 村上春樹が「ノックアウトされた」とあるインタビューの中で発言していて、期待していたのだが、その期待通り私も「ノックアウトされた」といっておこう。土屋政雄氏の訳がまた素晴らしい。

 最後の方、キャシーとトミーがマダムに会いに行くところは、展開は全く異なるが映画「ブレードランナー」のロイ・バティとタイレルの面会を少しだが想起させる。また『日の名残り』でもそうであったように「自分に与えられた運命を受け入れる」という世界観というか人生観-これは著者もどこかで語っていた-が根底にあるのだろう。

 抑制の利いた文章で語られる、魂のこもったこの作品は『日の名残り』と共にカズオ・イシグロの最高傑作だろう。まだカズオ・イシグロを読んでいない方には、この2作をお薦めしたい。