2009年12月27日日曜日

12月の読書-チャンドラーなど

 12月は何かと忙しく、このブログも大分空いてしまった。

 今月は、主にR・チャンドラーを読んでいた。村上春樹氏が『リトル・シスター』を早く訳してくれないかと思いつつ、『高い窓』、『プレイバック』、『湖中の女』を読んだのだ。

 チャンドラーはミステリ小説の書き手としては、実に傑出していると-勿論以前からだが-感じた。小説は本質的に、放恣な夢でありしかも(ここが大事)魂の告白という面を持っている。(丸谷才一氏)

 チャンドラーの書く物語も、村上春樹が評している通り、「魂の交流の物語であり、(中略)人の抱く美しい幻想と、それがいやおうもなくもたらすことになる深い幻滅の物語なのだ。」(『ロング・グッドバイ』)

 たかがミステリと馬鹿にはできないだろう。こうした人々の琴線に触れる面が無ければ、これほど長い間多くの読者を魅了し続けることはできないと思う。