2010年7月19日月曜日

『滝川コミューン1974』(原武史 講談社文庫)

 この連休に読んだ本だ。これは前回書いた『考える人』に原武史氏の連載「レッドアローとスターハウス(西武と郊外の戦後思想史)」があり印象に残っていたのと、『学問の下流化』(竹内洋)にこの本の書評があり記憶に残っていたからだ。

 この著者の本は初めて読んだのだが、予想外に面白かった。(講談社ノンフィクション賞受賞作)。また、当時の資料をよく調べてあるのにも感心した。著者自身の資料(日記、作文等)もよく保存してあるものだ。塾(四谷大塚)の試験の順位まで残してある。

 私は著者と同世代だ。著者は東京郊外(東久留米市)のマンモス団地(滝川団地)の小学校で、児童を主権者とする自由で民主的な教育を目指す試み-滝川コミューン-に激しい違和感を抱くのだが、著者が語る、「民主主義」の名のもとに「異質的なものの排除ないし絶滅」がなぜ公然と行われたのか。…民主主義に対するきわめて一面的な理解に根差していたといえないだろうか、という感想には共感できる。

 私はこうした体験はない。ただ、中学受験に際して、調査書を担任の先生がなかなか書いてくれなかったことはよく覚えている。中学受験に批判的な教師で、両親も苦労したそうだ。

 著者は塾という逃げ場-「理想の共同体」だったと書いている-があったから生き延びることができた訳だが、強烈な体験だったのだと思う。

2010年7月17日土曜日

『考える人』2010年夏号など

 今日は午前中に田園調布のくまざわ書店に行き、『考える人』2010年夏号(新潮社)を買ってきた。「村上春樹ロングインタビュー」があったからだが、早速読んでとても面白かった。

 箱根の富士屋ホテルで行われた3日間(5/11~13)のインタビューで、これほど長時間のインタビューはおそらく初めてだろう。

 この中で、チャンドラーの『リトル・シスター』の翻訳のことが出てきて、「もうほとんどできていて、見直しをやっているところ」とのこと。早く出版して欲しいものだ。まあこれは早川書房に頑張ってもらわないといけないが。

 今日梅雨が明けたそうだ。今年の夏はあまり暑くなく終わってもらいたいのだが、どうなるだろか。