2007年8月26日日曜日

夏の読書

 8月も終わりになってきたが、この夏に読んだ本で印象に残ったのが福岡伸一氏の著作だ。読んだ順に挙げると『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)、『もう牛を食べても安心か』(文春新書)、『プリオン説はほんとうか?』(ブルーバックス)。文章が非常に上手く、これは才能だとしか思えない。
 『プリオン説はほんとうか?』の中で、著者は「ノーベル賞評価への再審請求ととれるかもしれない」と述べているのだが、プリオン説への反論に非常に説得力があり今後どうなっていくか興味深いところだ。
 その他の良かった本として『「奥の細道」を読む』(長谷川櫂著 ちくま新書)がある。松尾芭蕉の「かるみ」という境地を論じたものでなかなか面白かった。

『「丸山眞男」をひっぱたきたい』について

 お盆に妻の実家で「週刊朝日」のバックナンバーを読む機会があった。その中の書評に「論座」での論争が載っており、家に帰ってから調べてみた。論争のきっかけとなったのは「論座2007年1月号」に載った『「丸山眞男」をひっぱたきたい』(赤木智弘)だ。これが著者のブログにあったので読んでみたのだが、「先の展望がない31歳フリーター」が社会の流動化の一手段としての「戦争」を希望するというなかなか刺激的なものだった。「論座」4月号で佐高信、福島みずほ氏ら7名の論者が批判したのだが、それに対して「論座」6月号で著者が反論している。(続『「丸山眞男」をひっぱたきたい』)
 論争がこの後どう展開するか興味のあるところだが、今はパラサイトしているフリーターがこのまま年をとっていくと社会が不安定化するのは避けられないだろう。