2010年12月29日水曜日

「麻布かりんと」のことなど

 今日から正月休みだ。帰省のお土産を買いに、麻布十番の「麻布かりんと」へ行ってきた。

 10時30分から開店で、開店の少し後に着いたのだが、もう行列が出来ていて驚いた。こんなに人気があったとは知らなかった…。「こがし黒蜜かりんとまん」を買ったのだが、これはなかなか美味しい。

 正月は割と寒そうだが、どうなるでしょうか。いつものように、京都に寄るのを楽しみにしているのだが。

 店の写真を貼っておこう。

2010年12月26日日曜日

12月の読書など

 今月読んだ本について書こう。(『リトル・シスター』以外)

1.『洋服・散髪・脱刀-服制の明治維新-』 (刑部芳則著 講談社選書メチエ)
2.『モードとエロスと資本』(中野香織著 集英社新書)
3.『愛の空間』(井上章一著 角川選書)

 1と2は日経夕刊書評で井上章一が紹介していた本だ。2冊共まあまあ面白かった。2の著者は、以前日経夕刊で連載していて、印象に残っていた。3は建築史の視点で書かれた本だが、調査は大変だったろうと思わされる。しかし、作者にはやはり『伊勢神宮』のような歴史学、建築史学の著作を期待したい。

 今日は、田園調布駅ビルの「イングリッシュ・ガーデン」(足裏マッサージの店)に行ってきた。帰りに駅ビル内の本屋に寄ったのだが、塾のバッグを持った親子連れがいた。そういえば1月から中学入試が始まる。昨年は新型インフルエンザが流行していて大変だったが、今年はその点ではラッキーでしょうか。

2010年12月12日日曜日

村上春樹訳 『リトル・シスター』

 この週末は村上春樹訳『リトル・シスター』(レイモンド・チャンドラー)を読んでいた。

 前にも書いたが、ずっと待っていてやっと出版されたものだ。「半世紀ぶりの新訳」と宣伝にあるとおり、創元推理文庫の『かわいい女』は1959年が初版だ。既に絶版なので、この作品を知らない人も多いだろう。

 村上春樹が「個人的な愛着がある」という通り、マーロウとオーファメイ・クエスト(=リトル・シスター)の会話など生き生きとしていて見事なものだ。このブログの読者の方にも-ミステリファンなら-お勧めしたい。

 ところで、あとがきの最後に「マーロウものの翻訳を更に続けていきたいと思う。」とある。あと長編4作を是非、毎年1作位のペースで出版してもらいたい、と早川書房には期待しよう。

2010年12月11日土曜日

ブリジストン美術館「セーヌの流れに沿って」

 今日は午前中に、ブリジストン美術館で「セーヌの流れに沿って」を観てきた。

 セーヌ川流域を5つの地域に分け、それらを描いた印象派の作品を中心に展示したもので、日本人画家の作品も多く紹介してある。

 なかなか見ごたえがあった。モネ、シスレー、ピサロらの印象派も良かったが、ルソーの「サン=ニコラ河岸から見たサン=ルイ島」、「要塞の眺め」等に惹かれるものがあった。ルソーは風景画もよい。帰りに1階のショップでルソーの画集を思わず買ってしまった。

 またマティスも1枚だがあり(「エトルタ断崖」)、ノルマンディー海岸のエトルタにある奇岩を描いた絵だが、クールベ、モネらの同じ題材の作品と比べて楽しむことができた。

2010年11月21日日曜日

11月の読書 その2

 前回に続いて、最近読んだ本について書こう。

1.『グロテスク・ジャパン』(井上章一 洋泉社)
2.『日本人の階層意識』(数土直紀 講談社選書メチエ)

1は、全日空の機内誌『翼の王国』に連載されていたものを加筆している。日本の文化が海外で「グロテスク」に変形する様子(ドイツで「タタミ」というサンダルが売られたり、ブラジルに招き猫があったりする等)を書いていて、まあまあ楽しめた。

2は、日本人の階層意識と価値意識について分析している。価値意識では、「何を基準にして地位や財を分配すべきか」という質問に対して、日本人は業績より努力を挙げる割合いが高い。(SSM調査データ)

 これについて著者は、その背景に努力することを強いるような日本的な組織・システムがあるとし、例として終身雇用及び新卒一括採用を挙げている。中途採用市場が未発達であり、正規雇用の身分を守るために「意に反して」長時間労働に従事していると感じている人が多く、「この努力は何らかの形で報われるべきだ」という形で、努力をより選択している可能性があるという分析だ。
 
 個人的には業績を選択するのだが、この分析はなかなか鋭いと思った。もちろん日本人全般に一般化はできないが、日本的な組織・システムに適応する過程を通じて形成された価値意識がある、ということは否定できないだろう。

2010年11月14日日曜日

11月の読書

 今月に読んだ本のことを書こう。

1.『カントの憂鬱』(佐飛通俊 講談社)
2.『信長は謀略で殺されたのか』(鈴木眞哉・藤本正行 洋泉社新書)
3.『信長の棺』(加藤廣 日本経済新聞社)

 1は『文学1997』(日本文藝家協会)という短編アンソロジーに入っていて、昔読んで印象に残っていたのだ。表題を含む短編集なのだが、「カントの憂鬱」はスポーツ新聞社を舞台に、深夜勤務する主人公がカントの哲学理論を援用しながら日常を語るのが新鮮なのだ。
 地下鉄サリン事件のため、ますます仕事が忙しくなる主人公の独白が面白い。表題作以外では「夜勤の夜」がなかなか良かった。

 2は前に書いた「田園りぶらりあ」で買ったのだが、予想以上に楽しめた。これと関連して読んだ3は2005年のベストセラーなのだが、当時の小泉首相が愛読書として挙げたことが、売上げアップに貢献したのだろう。読んでいて、当時を思い出して懐かしい感じがした。

 

2010年10月31日日曜日

大学センター試験の変更

 これは我が家には関係ないのだが、2016年度(現在の中学1年生が受験するセンター試験)から、難易度別に2種類の試験とすることが検討されているという記事があった。まだ検討段階だそうだが記事によると、

1.現段階で想定されているのは、試験科目を主に国公立大の志願者向けのものと、私立大向けの基礎科目型に分ける2種類とする。

2.センター試験は今年1月、800を超える大学・短大が利用し、約52万人が受験した。試験問題は平均60点水準で作られている。だが、成績分布のグラフが上位と下位の二つの山になっている科目もあるなど受験生の学力格差が広がる兆候が表れてきた。

3.難関大学ではセンター試験での結果で差がつかなくなり入学者選びに役立ちにくい一方、学力が一定程度に達していない受験生には問題が難しいという指摘も出てきた。同一試験で全体の学力を把握するのが難しくなっていると指摘され、早めに手を打つ必要が出てきた。

とのこと。

 まあ昔は国公立向けの一次試験だったが、今は私立も使うので問題は簡単になっているらしい。それでも正規分布にはならないというのは、改善する必要があるということでしょう。

『村上春樹のなかの中国』(藤井省三 朝日選書)

 週末は、先週末に続いて村上春樹の関連本を読んでいた。

 この本の中で著者は、中国を手がかりに村上作品を分析しているのだが、『風の歌を聴け』の冒頭の一節「完璧な文章などといったものは存在しない…」が魯迅のことばに触発されたものではないかと論じている。

 これは、初めて知ったのだが、なかなか面白い指摘だと思った。

 また、村上春樹の父についても書かれているのだが、「作家村上春樹の原点に父の世代の戦争体験がある」という推察も興味深かった。

 ところで、『ミステリマガジン』の次号(11月末発売)には村上春樹訳『リトル・シスター』の抄訳が載るそうだ。ということは、発売は12月か1月だろう。随分待った気がするが、やっと出るのは喜ばしいことだ。

2010年10月24日日曜日

『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』(文藝春秋)

 この週末に読んだ本だ。

 村上春樹へのインタビュー集なのだが、まとまったものとしてはこれが初めてだろう。

 なかなか面白かったのだが、海外のインタビュアーとは英語で行っていて、微妙なニュアンスがうまく伝わっていない場合もあるようだった。このあたりは仕方が無いのだろうが少し残念だ。

 印象に残ったのは、カズオ・イシグロを愛読していることだ(「新作が出たらすぐに買いに行って読みます。」とのこと)。まあこれは予想されることだが、実はカズオ・イシグロは日本語が「けっこう流暢に話せる。」と彼の妻から教えてもらったとあり、これには驚いた。(どこかで全く話せないと読んだことがあったのだ。)

 また、カズオ・イシグロについて、日本について書くときはまるで外国人が日本を描写しているような趣があり、英国的なもの-例えば貴族や執事-を書くとき、日本人の目を通して英国社会を見ているような趣がある、と述べている。
 これはまさにその通りであり、私も愛読しているこの作家の、この不思議な交錯する部分に引かれるという所に深く共感したのだ。

 

2010年10月17日日曜日

『団地の時代』(新潮選書)など

 10月に入って読んだ本のことを書こう。

・『団地の時代』(原武史・重松清 新潮選書)
 原武史氏の『滝山コミューン1974』が面白かったので読んでみたのだが、まあまあ楽しめた。個人的には、重松清氏ではなく、『郊外の社会学』(ちくま新書)の著者である若林幹夫氏との対談の方がよかった気がするが…。

・『戦時下日本の建築家―アート・キッチュ・ジャパネスク 』(井上章一 朝日選書)
 『夢と魅惑の全体主義』に関連して読んでみた。かなりの力作で、この作者にはやはり建築史についての著書を期待したい。これが絶版になっているのはどういうことか、全く理解できないが。

2010年10月10日日曜日

「キュイジーヌ フランセーズJJ」のこと

 この週末は妻と東京ミッドタウンに出かけて、キュイジーヌフランゼーズJJでランチをした。

 ここは初めてで、フランス料理は重たいのではないかと思っていたが、全くそんなことは無く、ソースがとても美味しくて感心した。

 シェフのジョエル・ブリュアン氏は有名らしいが、店内をぶらついたりしていて気さくな雰囲気だった。

 また、芝生広場で「日本の採れたて市」という催しをやっていた。試食しながら買えるのだが、なかなか盛り上がっていた。
 店の写真など貼っておこう。


2010年9月26日日曜日

最近の読書他

 最近読んだ本について書こう。

1.『南蛮幻想―ユリシーズ伝説と安土城』(井上章一 文藝春秋)
2.『夢と魅惑の全体主義』(井上章一 文春新書)
3.『消費社会から格差社会へ』(三浦展・上野千鶴子 ちくま文庫)
4.『マリナー氏の冒険譚』(ウッドハウス 文藝春秋)
5.『ユークリッジの商売道』(ウッドハウス 文藝春秋)

 井上章一と三浦展の著作はやはり読み応えがある。3は対談だが、読む前はあまり期待していなかったのだが、とても面白かった。ウッドハウスは相変わらず止まらないのだが、あと読んでいないのは2冊くらいで、そろそろ終わりだ。

 ところで、息子は最近学校の実力テストがあったのだが、英語の問題を少し見てみた。(テストの問題を見るのは久しぶりだった。)
 英作文に「私は甥の5歳の誕生日におもちゃの電車をあげました。」というのがあったが、息子はnephew(甥)をniece(姪)と間違えて書いて減点されていた。紛らわしい単語だが、ビシッと合って欲しいところだ。まあどうでもよい話だが。

2010年9月20日月曜日

自由が丘「Ke:miyu」

 昨日は、午前中に自由が丘に行き、プリン専門店「Ke:miyu」(ケミュ)でプリンロールケーキを買ってきた。

 ここは初めて行ったのだが、意外と小さい店だった。ロールケーキの中にプリンが入っているのだが、プリンがとても美味しかった。店の写真を貼っておこう。

 今日はやっと涼しくなって過ごしやすかった。ところで、村上春樹訳の『リトル・シスター』(R・チャンドラー)が出版されるのを楽しみにしているのだが、早川書房のHPを見ても9月、10月の刊行予定に無いのだ。早くして欲しいと思っているのは私だけではないだろう。(どこかの書店のブログには、早川書房から10月刊行予定とあったのだが…)

2010年9月18日土曜日

「田園りぶらりあ」のことなど

 今日は午前中に、田園調布駅ビルのくまざわ書店に行ったのだが、帰りに「田園りぶらりあ」という古本屋に寄ってきた。

 ここは初めて入ったのだが、美術書などが充実していた。昔は久世光彦さんも通っていたらしい。『ロハスの思考』(福岡伸一 ソトコト新書)があったので購入した。マイナーな出版社(木楽舎)の新書で、大手の本屋で探してもなかったのだが、これで福岡氏の新書の著作は全て揃ったことになり嬉しい。

 携帯でだが、道路の向い側から店の写真を撮ったので貼っておこう。

2010年9月11日土曜日

このブログのことなど

 最近、グーグルのブログでは投稿者向けに「統計」という項目が追加になった。

 ブログの閲覧回数などが分かるのだが、グーグルらしくどこの国から見ているかも表示されている。このブログは日本だけかと思ったら、アメリカ、シンガポールからの閲覧もある。

 まあたいしたことは書いていないし、殆ど読書日記なのだが、海外からもアクセスされているというのは嬉しい気がする。

 ところで今日は9月11日だが、まだまだ暑いのは何とかして欲しいものだ。息子(高校1年)は7日から学校が始まったのだが、幸い中高一貫の私立なのでエアコンがある。エアコンの無い学校は大変だろうと思う。

2010年8月22日日曜日

夏の旅行


 先週金曜日から、家族で広島、宮島に行ってきた。厳島神社は随分久しぶりだったので楽しみにしていたのだ。

 広島の平和記念公園は、この暑さでも観光客が多く(欧米人が目立った)、さすがは世界遺産だと思った。
 厳島神社も-ここも猛烈に暑かったが-観光客、修学旅行の学生で賑わっていた。干潮時のためか、大鳥居まで歩いている人も結構いた。

 また、ひろしま美術館に寄ろうと考えていたのだが(マティスが2作ある)、あまりに暑くてキャンセルした。今年はいつまでも暑くて、異常気象でしょう。

 平和記念公園、宮島、広島城の写真などを貼ろう。



2010年8月14日土曜日

夏休みのことなど

 13日はお盆休みで、午前中にブリジストン美術館に行ってきた。テーマ展示は「ヘンリー・ムア」で、彫刻、版画など見ごたえがあった。
 夏休みのためか、多少混んでいたが、じっくりと見ることが出来てやはりこの美術館は良いと感じた。

 14日は、自由ヶ丘のルピシア(2F)で家族でランチをとった。お盆だが、ほぼ満席で流行っているなと感心した。また、店内(1F)には中国か韓国の観光客らしきグループもいたが、向こうのガイドブックに載っているのだろうか。

 ウッドハウスの本は、相変わらず図書館で借りて読んでいるのだが、前(6月20日)に書いたときからの追加分を載せておこう。ストレス解消には最高だが、読み出すと止まらないのが悩みだ。(全て図書刊行会)

・ウースター家の掟
・でかした、ジーヴス!
・サンキュー、ジーヴス
・ジーヴスと朝のよろこび
・ジーヴスと恋の季節
・ジーヴスと封建精神

2010年8月7日土曜日

夏の読書

 最近読んだ本だ。

1.『対馬はなぜ円く描かれたのか』(黒田智 朝日新聞出版)

 かなり前だが井上章一の書評(日経新聞)に取り上げられていて、日経朝刊に連載中の小説にも対馬藩が登場しており読んでみたのだ。
 これまで対馬については殆ど知識がなかったこともあり、興味深く読めた。対馬が一種のアジール-罪人が逃げ込めば罪が許される聖域-であったというところは、特に面白かった。

2.『日本の教育格差』(橘木俊詔 岩波新書)

 この著者の本はつい買ってしまう。今回も様々なデータにより分析していて、経済学の観点から教育を論じる第一人者だと思った。まあ書いてあることの多くは、知っているあるいは聞いたことがあるものだったが。ただ、ロールズ、ローマーの思想についてはよく知らなかったので、ここは参考になった。
 

小・中学校 学力テストのことなど

 7月末に小・中学校の学力テストの結果が発表になっていた。

 2007年から開始されたこのテストだが、息子の学校は参加していないし、特に興味は無いのだが、マスコミが大きく取り上げるので多少気にはなる。(東京都内の私学の参加率は2007年で約2割で、大半は不参加だ。)

 大阪府は毎回下位らしく、改革に熱心な橋下知事のコメントが載ったりしている。確かに今回も、小6で34位、中3では45位だ。そして、秋田県、福井県がいつもトップクラスなのだそうだ。

 しかし、大学センター試験の都道府県別平均点をみると、大分違ってくる。2009年度の結果では、大阪府は、東京都、神奈川県、奈良県についで4位だ。そして秋田県は35位、福井県が24位となっている。

 小・中学校で振るわなくても、大学受験で挽回できていれば良いと思うのだが、その辺りの分析もして欲しいところだ。

 

2010年8月1日日曜日

ルピシアなど

 今日は妻と自由ヶ丘に行って、ルピシアとジュノエスクベーグルに寄った。蒸し暑い日だったが、猛暑日ではなかった。梅雨が明けた7月19日の週は猛暑だったが、最近は少しはマシなような気がする。

 ルピシアではスコーンセットなど食べたのだが、店内は割りと混んでいた。ルピシア(2枚)とジュノエスクベーグルの写真を撮ったので貼っておこう。





2010年7月19日月曜日

『滝川コミューン1974』(原武史 講談社文庫)

 この連休に読んだ本だ。これは前回書いた『考える人』に原武史氏の連載「レッドアローとスターハウス(西武と郊外の戦後思想史)」があり印象に残っていたのと、『学問の下流化』(竹内洋)にこの本の書評があり記憶に残っていたからだ。

 この著者の本は初めて読んだのだが、予想外に面白かった。(講談社ノンフィクション賞受賞作)。また、当時の資料をよく調べてあるのにも感心した。著者自身の資料(日記、作文等)もよく保存してあるものだ。塾(四谷大塚)の試験の順位まで残してある。

 私は著者と同世代だ。著者は東京郊外(東久留米市)のマンモス団地(滝川団地)の小学校で、児童を主権者とする自由で民主的な教育を目指す試み-滝川コミューン-に激しい違和感を抱くのだが、著者が語る、「民主主義」の名のもとに「異質的なものの排除ないし絶滅」がなぜ公然と行われたのか。…民主主義に対するきわめて一面的な理解に根差していたといえないだろうか、という感想には共感できる。

 私はこうした体験はない。ただ、中学受験に際して、調査書を担任の先生がなかなか書いてくれなかったことはよく覚えている。中学受験に批判的な教師で、両親も苦労したそうだ。

 著者は塾という逃げ場-「理想の共同体」だったと書いている-があったから生き延びることができた訳だが、強烈な体験だったのだと思う。

2010年7月17日土曜日

『考える人』2010年夏号など

 今日は午前中に田園調布のくまざわ書店に行き、『考える人』2010年夏号(新潮社)を買ってきた。「村上春樹ロングインタビュー」があったからだが、早速読んでとても面白かった。

 箱根の富士屋ホテルで行われた3日間(5/11~13)のインタビューで、これほど長時間のインタビューはおそらく初めてだろう。

 この中で、チャンドラーの『リトル・シスター』の翻訳のことが出てきて、「もうほとんどできていて、見直しをやっているところ」とのこと。早く出版して欲しいものだ。まあこれは早川書房に頑張ってもらわないといけないが。

 今日梅雨が明けたそうだ。今年の夏はあまり暑くなく終わってもらいたいのだが、どうなるだろか。

2010年6月20日日曜日

最近の読書

 最近読んだ本は以下の通りだ。

・『会社はこれからどうなるのか』(岩井克人 平凡社ライブラリー)

 これは前から読もうと思っていた。「資本主義論」と「会社論」との結びつきを論じたものだが、アメリカ型の株主主権論はこれからの会社のあり方のグローバル標準とはならず、逆に日本の多くの会社-株主主権論から距離を置いてきた-がポスト産業資本主義の時代に親和性がある、とする主張は、一見奇妙な感じがするのだが説得力があった。

 その他はP・G・ウッドハウスを読んでいた。1冊読むと次から次への読みたくなるのだ。以下の6冊だが、これからも止まらないだろう。

・ブランディングズ城は荒れ模様(国書刊行会)
・エムズワース卿の受難録(文藝春秋社)
・ジーヴスの事件簿(文藝春秋社)
・比類なきジーヴス(国書刊行会)
・よしきた、ジーヴス(同上)
・それゆけ、ジーヴス(同上)

2010年6月13日日曜日

W杯のことなど

 W杯が開幕した。今回は日本があまり強くないためか、いまひとつ盛り上がりに欠ける感じだが。

 優勝争いは、ブラジル、スペインが2強といわれているが、どうなるだろうか。スペインは1位で通過しても、決勝トーナメント1回戦はポルトガルかコートジボワールか(まさかブラジルでは無いだろうが)で、2回戦はイタリアあたりだと、ここでかなり消耗しそうな気がする。

 ブラジルは、なんだかんだいっても決勝まで来るだろうか。そうすると、順調だとドイツ対アルゼンチンの勝者が、スペインに勝ってブラジルと対戦するのかも知れない。また個人的には、イングランドには準決勝でブラジルと対戦して欲しいのだが。(勝つのは難しそうだが。)アフリカ勢も準決勝に1チームは残りそうな感じがする……。

 などと予想するのはとても楽しい。日本も頑張ってほしいが、今回はあまり期待できないと思う。さてどうなるでしょうか。

2010年5月23日日曜日

最近の読書-英国関連

 最近読んだ本は以下の通りだ。

1.『ハマータウンの野郎ども』(ポール・ウイリス ちくま学芸文庫)

2.『ミステリーの人間学-英国古典探偵小説を読む』(廣野由美子 岩波新書)

3.『ブランディングズ城の夏の稲妻』(P・G・ウッドハウス 国書刊行会)

 どれも英国に関連した本だ。1は社会学の名著で読み応え十分だった。学校文化に反抗する「野郎ども」が、結果として社会的再生産をもたらすという調査・分析が鮮やかだ。

 3だけは図書館で借りたのだが、予想以上に面白かった。ウッドハウスは「ジーヴスもの」が有名だが、このブランディングズ城シリーズは他の作品も是非読んでみたい。ストレス解消には最適でしょう。

2010年5月15日土曜日

Z会のことなど

 だいぶ前(2008年3月2日「Z会と市進の提携」)のブログにコメントがあった。(コメントはこの日ではなく、3月1日「マティスのこと」に載っている。)

 この時のブログは次の通りだ。(関連箇所の抜粋)

 Z会といえば、昔大学受験の頃やっていたのを思い出す。ペンネームを使うのだが成績優秀者に名前が載ると嬉しかった。「らぐらんじぇ」というペンネームの有名人がいて、彼は灘から理Ⅲに入ったのだが、小学校の時塾で知っていたK君なのだ。今はどうしているだろうか…

 これに対して以下のコメントがあった。

「匿名 さんのコメント...
 2008/3/2の書き込みに対して(ふるくてすみません)
 ペンネーム「らぐらんじぇ」さんは、獨協医科大学脳神経外科にいますよ。HPを見てください。
 すごかったよね。Z会で全教科満点とか!
 CORONA」

 コメントありがとうございます。K君の消息が今になってわかるとは思わなかった…。こうした情報が得られるのは、ブログというかインターネットの「功」の部分だろう。

2010年5月5日水曜日

GWのこと(その4) 等々力不動尊のこと

 5月3日は、妻と等々力不動尊に行ってきた。私は等々力渓谷を通ってみた。ここは初めてだったが、急斜面に森林が豊富に残っているのには驚いた。

 夏は涼しいだろうと思うが、歩道にやや狭い所があり、この日はGWで人が多く、歩きにくい所があった。まあ普段は問題ないのだろうが。国分寺崖線の一部らしいが、こんなに高低差がある所も珍しいのではないか。

 等々力不動尊は賑わっていた。GWのためだろうが、最近パワースポットとして紹介されているためかもしれない。そういえば、明治神宮の清正井は整理券を配るほど混んでいたらしいが、最近はどうなのだろうか?

2010年5月4日火曜日

GWのこと(その3)-読んだ本のこと

 このGWに読んだ本は以下の通りだ。

1.『東大教授の通信簿―「授業評価」から見えてきた東京大学』 (石浦章一 平凡社新書) 
2.『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか』(城繁幸 ちくま新書) 
3.『漱石の「不愉快」』(小林章夫 PHP新書) 
4.『英文読解完全マニュアル』(澤井繁男 ちくま新書) 
5.『行動経済学』(依田高典 中公新書)

 1~4は図書館で借りた。この中では1が面白かった。ただデータが少なく物足りない面も感じたが。4は本論ではなく、英語教育についての著者の意見が面白そうだったので借りた。公立中学では辞書を使用するなという先生がいる(教科書の巻末の単語リストを見ればよい)ことに著者(駿台予備校の先生だ)が怒っているが、もっともな話だ。

 5が最も読み応えがあった。2日の日経朝刊でも紹介されていた本で、経済学の歴史の中での行動経済学の位置づけや、理論、今後の可能性がよく分かる。そういえば今日の日経の経済教室では「時間割引率」が出ていた。行動経済学が広く知られるようになるのは、良いことだと思う。

2010年5月2日日曜日

GWのこと(その2) ブリジストン美術館

 今日は、午前中にブリジストン美術館に行ってきた。

 「印象派はお好きですか?」という展示をやっていたからだが、お目当てはマティスで、4作展示してあった。早い時間にいったので、そんなに混んでいなくて良かった。

 そういえば、昨年のGWは「マティスの時代」をここに見に行った。こじんまりとして、好感の持てる美術館だ。

 今日は、多少気温が高かったが過ごしやすい一日で、GWはこういう天気であって欲しいものだ。

2010年5月1日土曜日

GWのこと-「ジョエル・ロブション」など

 昨日は妻と六本木ヒルズに出かけた。「ジョエル・ロブション」で昼食をとったのだが、ここは妻が親睦会で使ったことがあり、なかなか良かったとのことで行ってみたのだ。

 フレンチで、三ツ星シェフは有名らしい。内装は黒と赤を基調としていて、カウンターがメインというフレンチの店とは思えない不思議な感じだった。パンが美味しくて-これは妻も言っていた-印象に残った。

 後は「毛利庭園」などに寄ったのだが、池を中心とした回遊式庭園は、GWといっても平日のためかそんなに混んでいなかった。

 庭園と店の写真を貼っておこう。



2010年4月29日木曜日

英語のこと(その2)

 前回に続いて英語のことを書こう。

 息子の学校では、中学はバードランド(Birdland Junior English 文英堂)という非検定教科書を使っていた。これは、プログレス、トレジャー同様の中高一貫校用のテキストだ。息子の前まではプログレスを使用していて、私も中高はプログレスだったのでどんな風に変わっているか楽しみだったのだが、まあバードランドも良い教科書だったらしい。(洛星の先生が執筆者の1人)

 高1では、主に検定教科書を使用している。(高1から高3用の3冊を1年間で使う。)それ以外に、ライティング、リスニング、文法のテキストも使用するようだ。
 
 高1までに、単語や文法、読解の基礎を固めて、高2からは総合力を高めるということだろうか。英語は膨大な勉強量が必要なので、学校の授業をベースにして、時間と労力を惜しんではいけないが…。さあどうなるでしょうか。

2010年4月25日日曜日

英語のことなど

 息子は4月から高校生になった。中高一貫校なので入試はなく、気がついたら…という感じだが。

 ところで、最近息子は校内実力テスト(というのが高校になるとあるのだ)だったらしい。英語の問題を見たのだが、時間(60分)の割りにはかなりの長文が出ていた。

 そういえば、息子の学校で志望者が多い大学の入試は、短時間に量の多い英文を読むことや、自由英作文、そしてリスニングの配点が高いことが特徴だ。リスニング問題もあったし、意識しているのだろうか。

 それはともかく、今日は英語の単語参考書(『DUO3.0』とCD)を買ってきていた。定番のものらしいが、勉強する気になったのは良いことだ。まあ先は長いが、頑張ってもらいましょう。

 

2010年4月11日日曜日

『パン屋再襲撃』 (村上春樹)

 この週末に久しぶりに読み返した。

 この短編集の中にある「ローマ帝国の崩壊・1881年のインディアン蜂起・ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界」は、最も好きな短編の一つだ。

 この短編の主人公には、昔から心惹かれるものがあった。これが書かれた80年代の私と、別に似ているわけではないのだが。

 この主人公は日記を書くにあたって、題名にある歴史的出来事をメモにまとめておく。それぞれの歴史的出来事は、無風の日に突然強風が吹き始めたこと、その音で恋人の電話の声がかき消されたこと、映画の記憶で日記を書き間違えたという個人的な出来事の記号となるのだが、こういう記号性に惹かれるのかもしれない。

 

最近の読書

 ここ1ヶ月位に読んだ本のことを書こう。

1.『菜根譚』(湯浅邦弘 中公新書)
2.『ファスト風土化する郊外』(三浦展 新書y 洋泉社)
3.『「家族」と「幸福」の戦後史』(三浦展 講談社現代新書)
4.『競争と公平感』(大竹文雄 中公新書)
5.『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(城繁幸 光文社新書)

 2,3,5は図書館で借りた。2と3は三浦展著のまだ読んでいなかった本で、買うまでも無いかと思ったのだが、まあまあ面白かった。3は郊外に関してのものだが、郊外論の端緒となる視点は評価したい。

 読み応えがあったのは1と4で、やはり中公新書は高いレベルを維持している。大竹氏の著書はつい買ってしまうのだが、先端の分析結果を分かりやすく伝えている。

2010年4月4日日曜日

007の映画、桜のことなど

 最近WOWOWでは007の映画の特集をやっている。今日は「007 私を愛したスパイ」を観たのだが、主題歌が印象的な娯楽映画の名作だ。そういえば、昨年2月にアメリカに出張した時も機内で観たなあ。あれはJALだったか。

 また、午前中に外出した時に、浅間神社の辺りの桜が満開だった。曇りで少し寒いくらいだったが、今週はまだ見ごろかもしれない。

 携帯でだが写真を撮ったのでアップしよう。



2010年4月3日土曜日

新宿御苑でのお花見など

 今日は午前中に、妻と新宿御苑にお花見に行ってきた。新宿御苑は久しぶりだったのだが、ほぼ満開の桜を楽しめた。午前中のせいか、そんなに混んでいなかったのも良かった。

 帰りは、新宿高島屋でお茶をした後、紀伊國屋書店に寄ったのだが、紀伊國屋も随分久しぶりな気がする。マティスの画集などを買った。マティスは、晩年は「切り紙絵」での製作を行ったが、この画集は切り紙絵の解説が詳しくて参考になった。前にも書いた「王の悲しみ」など是非見てみたい作品があるのだ。

 新宿御苑での写真を貼ろう。



2010年3月22日月曜日

プロ野球開幕

 今年のプロ野球が開幕した。前にも書いたが、昨年11月に札幌ドームに行って以来、パリーグに興味があるのだ。

 この週末は、日本ハム対ソフトバンクの開幕戦を観た。ダルビッシュで5点も取られて負けてしまったが、「稲葉ジャンプ」でカメラが揺れるなど、応援を思い出して懐かしい感じがした。

 交流戦では、神宮球場か東京ドームに日本ハム戦を観にいきたいのだが、どうなるでしょうか。まあ難しいかもしれないが。

将棋 NHK杯トーナメントなど

 今年度のNHK杯将棋トーナメントは、羽生名人が糸谷五段に勝って優勝した。

 今回で8回目の優勝で、大山15世名人に並んだ訳だが、これからも優勝するだろうしこれはすごい記録だ。

 最近は王将戦で久保挑戦者に奪取されるなど、調子はいまひとつなのだが、朝日杯将棋オープン戦とこのNHK杯と、棋戦の優勝を重ねるのはさすがだ。

 個人的には、唯一永世称号を持っていない竜王戦で、渡辺竜王との対決を見てみたい。あと一期で永世竜王なのだが、今年辺り実現して欲しいものだ。

2010年3月20日土曜日

修学旅行のこと

 息子は中3なのだが(4月から高校生)、修学旅行が今月だ。新型インフルエンザ流行により10月から延期になったためだが、春休みに修学旅行というのは珍しいだろう。

 息子の学校では、幾つかのコースに分かれている。息子は京都コースだが、この時期は観光客で賑わっていて混んでいるだろう。桜が見ごろだし良いかもしれないが。

 京都御所など見学するらしいが、中高一貫で緊張感がなく高校生になる息子にとって、良い思い出になるかどうか…、まあ頑張ってもらいましょう。

 

2010年3月14日日曜日

大学合格発表、伊藤理佐『女の窓3』

 3月10日は、国立大学の前期合格発表だった。

 週刊誌は、早速合格者速報を載せている。これを見ると、こんなに早く各学校の人数が分かるのか、と驚いてしまう。

 まあこうした特集号は良く売れるらしいし、各学校もPRになるので協力するのだろう。

 そういえば、昔は合格者の名前まで載せていた。今は予備校の宣伝ページに出るくらいか。ところで息子は、4月から高校生だ。受験はまだ先のことだが、さあどうなるでしょうか。

 今日は、伊藤理佐の『女の窓3』を買ってきた。このシリーズは3冊とも持っているのだが、どれも面白い。エッセイ漫画についての才能は相変わらずあるなあ、と思ってしまうのだ。

2010年3月7日日曜日

『桜が創った「日本」』 佐藤俊樹(岩波新書)

 この週末に読んだ本だ。

 ソメイヨシノの起源を辿った本だが、この人工的な桜=日本の近代を生きる桜から「日本」の姿を語っている。

 社会学者らしく、戦後の桜についての言説に「戦後の社会と大きな物語」との関係性を見出している。

 「大きな物語」と言われても、リオタールの「大きな物語の終焉」などを知らなくてはピンとこないのではと思うが、まあそれはそれとして、終章の「創られる桜・創られる「日本」」は面白かった。

 ところで去年は千鳥ヶ淵に花見に行ったのだが、今年は目黒川辺りにしようかと思っているのだ。この本で桜の種類を知ることができた。ソメイヨシノはまだだが、エドヒガンはもうすぐ咲き始めるのだろうか。

 

2010年2月27日土曜日

冬季オリンピック その2

 冬季オリンピックももうすぐ終わりだ。アイスホッケー男子はカナダ対アメリカの決勝で、オリンピックのトリを飾る好勝負が期待できる。

 その他の競技では、カーリング女子の決勝(スウェーデン対カナダ)が面白かった。延長の第11エンドでスウェーデンの連覇が決まったのだが、カナダが最終ショットでスウェーデンの石二つをたたき出すダブルテークアウトを決めれば優勝だった。

 しかし、主将(スキップ)のバーナードが失敗してしまった。かなりのプレッシャーがあったのだろう。2点をリードした第10エンドでも最終投をミスして同点に追いつかれている。

 スウェーデンは姉妹2組、夫婦1組というチーム構成とのこと。家族で取り組みやすい競技だそうだが、何とも不思議な感じがする。

 スキップのノルベリはカナダのバーナードと同じ年齢(43歳)のベテランで、前回のトリノに続いて金メダルを取った。メンバーはトリノの時と同じなので皆が連覇したことになる。

 カーリングの試合をじっくり観たのは今回が初めてだったが、とても楽しめた。マイナーな競技だが、日本も頑張ってほしいと思う。

2010年2月21日日曜日

『無印ニッポン』 三浦展/堤清二

 今週読んだ本だ。

 堤氏、というかセゾングループには特に興味は無いのだが、最近、三浦展氏に注目しているので買ってきたのだ。

 なかなか面白い対談だったが、特に印象に残ったのが次の2点だ。

1.西武美術館(セゾン美術館)について話している箇所を読んで、そういえば昨今の百貨店は、文化催事を行わなくなったなと感じた。ここは、堤氏を評価したいところだ。「メセナ」というのも死語になっている。

2.国立市は大学町だが、この構想は堤氏の父(堤康次郎)が、一橋大学の移転の際に、大学を中心にした学園都市構想に基づいて開発したそうだ。その時に、大学職員の子供用に小学校(国立学園小学校)も作っている。
 このことは、これまで知らなかった。大学時代は国立に住んでいたのだが…。ドイツのゲッティンゲンがモデルということは聞いたことがあったのだが。
 

2010年2月14日日曜日

冬季オリンピック

 バンクーバーオリンピックが始まった。冬季オリンピックにはそれほど興味は無いのだが、まあ休日にはつい見てしまう。

 ところで、夏のオリンピックには村上春樹氏の『シドニー!』という優れた観戦記がある。冬にはこうした観戦記はあるのだろうか?あまり記憶に無いのだが。

 個人的に最も関心がある競技は、男子アイスホッケーだ。昨年11月にスウェーデンに出張したとき、アイスホッケーの人気はすごいと聞いた。そういえば前回のオリンピックでは優勝している。

 今回は開催国カナダが優勝候補筆頭で、アメリカ、ロシア、スウェーデン、フィンランドあたりがライバルか。決勝トーナメントからは、時間があれば観戦したいのだが。

2010年2月13日土曜日

デ・キリコ 「通りの神秘と憂鬱」

 12日の日経新聞の文化面「影のポエジー 十選」にデ・キリコの「通りの神秘と憂鬱」(選者 田名網敬一)が紹介されていた。

 この絵-キリコの代表作だ-は昔から知っていたが、1月に同じ十選シリーズの「子供の居る場所 十選」(選者黒井千次)でも取り上げていたので、印象に残ったのだ。

 そういえば、デ・キリコについては『村上春樹堂はいかにして鍛えられたか』(村上春樹/安西水丸)にも出てくる。村上氏がイタリア在住時にデ・キリコの回顧展を見に行く話で、デ・キリコのファンになったと書いている。

 この話の水丸氏の挿絵はまさにこの絵で、「キリコはいいですね」という水丸氏のコメントがある。

 「輪回しをする少女を待ち受ける細長い人影、扉の開いた荷車の影…(中略)キリコが提唱する形而上絵画とは、肉眼でとらえる世界の光景によって、潜在意識に潜むかくれた神秘性を呼び起こし、詩的、霊的な表現を目指すことである。」という田名網氏の解説は的確だ。

2010年2月11日木曜日

井上章一 『霊柩車の誕生』

 今週読んだ本だ。著者のデビュー作で、前から読もうと思っていたのだが、書店になかなか売っていないこともあって、これまで購入しなかったのだ。

 期待通りの面白さで、一気に読みきった。霊柩車の誕生を解明していく中で、これまで知らなかった葬送の歴史を知ることができた。

 特に、明治時代の華美な葬列と、大名行列に密接なつながりがあったことは新鮮な驚きだった。

 斬新な視点で、日本文化を広く論じることが出来る著者は、やはり洛星出身のスター学者でしょう。 

2010年2月8日月曜日

アンジェパティオのこと

 6日の土曜日に、妻と渋谷のイタリアンレストラン「アンジェパティオ」に行ってきた。ここは、2008年の年末に行って以来だ。

 ランチを食べたのだが、料理は美味しいし、気持ちの良い接客でとても満足できた。

 渋谷で食事をすることは殆ど無いが、この店には時々行きたくなる。週末は結婚式があるらしく、なかなか取れないのだが、この日予約できたのは幸運だった。

 携帯だが写真を撮ったので貼っておこう。







 

2010年2月7日日曜日

御厨貴 経済教室

 最近の日経新聞の経済教室で興味深かったのが、1月20日の御厨貴氏「鳩山政権 評価と展望」だ。

 この中で御厨氏は、「宮内庁次いで検察庁が、組織の存亡を賭け、「絶対的権力者」小沢氏の前に立ちはだかっている。めったに見ることのない、権力と権力のむき出しの全面対決が繰り広げられている。」と書いている。

 結果は、不起訴処分で終わった訳だが、これで小沢支配が確立するのか興味のあるところだ。自民党政権が過去のものになり、交替可能な政党がなくなったと言ってもよい状況下での、官僚機構の危機感は相当なものだろう。

 御厨氏は、「一方で変える文化を是認しながら、他方で権力と金力をあられもなく行使する矛盾の固まり」である小沢氏は、「結局、政治の後景に退いていくしか残された選択肢はあるまい。」と言っている。

 個人的には、そうだろうと思うが、さてどうなるでしょうか。

2010年1月31日日曜日

竹内洋 やさしい経済学

 1月18日から日経新聞に連載されていた竹内洋氏の「日本型大衆社会の誕生」が面白かった。

 最近、テレビ文化人が妙に目立つようになってきたなという印象があったのだが、竹内氏の分析によると、

1.知識人やテクノクラート(官僚・経営者)は、それぞれ若者・革新大衆と実務人・保守大衆をサポーターとして棲み分けていた。しかし、知識人の普遍知とテクノクラートの専門知もそれ自体では権力性を持ちにくくなり、大衆感覚にたっぷり浸し、濾過しなければならなくなった。

2.このため、これまでは知識人やテクノクラートの知の配信者であり、二流の文化人という役どころだったテレビ文化人が屹立し始めて、大衆的お墨付きを後ろ盾にして、独自の存在となった。彼らこそメタ(高次の)大衆の表象=代表だからである。

3.知識人もテクノクラートも、テレビ文化人化することなしには、影響力の行使もままならない。大学は文化人化したスポーツ選手や芸能人を客員教授に招き、審議会はテレビ文化人を指名する。

4.しかし、そうした所作で知識人とテクノクラートは自らの足場を崩し、彼らの憂鬱は増すばかりとなった……。

 ということになる。この鋭い指摘はさすが竹内氏だ。これ以外にも、事業仕分けが中世の顕示的公共性の再現だとか、匿名化した誹謗中傷の書き込み(2チャンネル等)は、仮想空間での群集の氾濫であるなど、なるほどと思わせるものがあった。

2010年1月17日日曜日

センター試験

 昨日、今日はセンター試験だった。今年も昨年と同じく英語、国語(現代文のみ)を解いてみた。

 結果は英語170点(200点満点)、国語85点(100点満点)だった。昨年(175/81)とそう変わらないか。

 英語は難しくないのだが、日経新聞の文字が小さくて、読むのに時間がかかったこともある。(これは言い訳だが。)

 それにしても、55万人が受けるとはすごい試験だ。現役が約80%で、高校生の約4割が受けていることになる。

 しかし、昔は新聞の小さい文字を読むのは苦にならなかったのだが。これも年を取ったため?でしょうか。

2010年1月11日月曜日

洛星中学・高校のこと

 この正月に、母校の同窓会会誌を実家から持ってきた。(住所が古いままだったのだ。)

 久しぶりに読んだのだが、現役生はなかなか頑張っているようで安心した。大学進学情報をみると、最近は4分の1が医学部を受験するらしい。

 昔から医学部志望者は多かったが、ここまでの割合ではなかった気がする。まあ全卒業生の10%は医者という話だし、医者の息子が多いからでしょうか。

 そういえば同窓会で毎年夏に「東京の集い」というのがあるのだが、久しく参加していない。今年辺り出席してみようかな。
 

2010年1月10日日曜日

桂離宮のこと

 昨日、NHKハイビジョンで桂離宮の番組をやっていた。録画して見たのだが、とても良かった。

 桂離宮については、井上章一『つくられた桂離宮神話』ぐらいしか知らなかったのだが、是非参観したいと思った。

 回遊式庭園、建物(古書院、中書院、新御殿)は当時の文化(粋、綺麗)の頂点を示すものだろう。今は宮内庁が管理しているが、末永く保存して欲しいものだ。

明治神宮、テオブロマのことなど

 今日は昼から妻と明治神宮に行ってきた。昨年もこの時期に参拝している。今年は例年より混んでいた。やはり不況だと神頼みが多くなるのだろうか?

 今年も清正井(清正の井戸)に行こうと思ったのだが、何と5時間待ち!!とのことで止めた。何でも昨年末にTVで紹介されて以来、運気が上がる場所としてすごい人気らしい。

 まあどうでも良いのだが、新年早々うんざりする出来事ではある。1、2ヶ月すると元に戻るだろう。そのころ行くことにしようか。

 その後、代々木公園まで歩いて「テオブロマ」でお茶をしてきた。ここが本店らしい。店内は混んでいたが、幸いテーブルが空いていた。ここのチョコレートはとても美味しくて、妻は広尾の店に時々行っている。

 明治神宮とテオブロマの写真をアップしよう。





 



 

2010年1月4日月曜日

冬の京都(南禅寺、永観堂、ル・グランマーブル)

 12月30日は家族で京都に行った。帰省の途中に寄ったのだが、南禅寺、永観堂などを散策した。

 年末ということもあり、どこも空いていた。はやし屋で昼食をとった後、南禅寺に行った。ここでは天授庵の庭が印象に残った。禅寺の枯山水(水の無い庭。石や砂で山水を表現する)は、冬に見るのが良いものだ。

 永観堂は、紅葉とみかえり阿弥陀が有名だが、いつもは混んでいるこのお寺も空いていた。しかし、阿弥陀堂までの階段は勾配が急で、お年寄りには大変だろうと思う。エレベータ設置らしい工事中だったが、なるほどこれは必要でしょう。

 南禅寺の天授庵と永観堂、そしてル・グランマーブル(ここのパンが妻のお気に入りだ)の写真を貼ろう。




 

2010年1月1日金曜日

年末の読書-マイケル・イネスなど

 新年明けましておめでとうございます。 

 この年末は『ある詩人への挽歌』(マイケル・イネス)を読んだ。この本-現代教養文庫-は大分前に買ったのだが、読んでいなかったのだ。

 『探偵たちよ スパイたちよ』(丸谷才一編)を久しぶりに読んだのだが、その中にイネスについて書かれていたので、思い出したのだ。

 舞台はスコットランドの田舎にある城だが、雪深いクリスマスの、荒涼とした風景が目に浮かぶ描写は見事なものだ。こうした重厚なミステリは、まとまった休みでないと手に取る気にはなれない。

 まあこうした本はなかなか売れないだろう。現代教養文庫も今は無い。ハヤカワ文庫には是非頑張ってほしい、そしてイネスの本も出して欲しいと思っているのだが。