2012年6月10日日曜日

6月の読書

最近読んだ本だ。

1.『秀吉と海賊大名-海から見た戦国終焉』(藤田達生 中公新書)

2.『漱石のリアル――測量としての文学』(若林幹夫 紀伊國屋書店)

3.『クラシック音楽の政治学』(渡辺裕、若林幹夫他 青弓社)

 1は井上章一の日経書評にあったもので、海賊史を通した大名間のかけひきを論じた個所は読みごたえがあった。中世から近世にかけての移行の読み解き方が新鮮だ。

 2と3は若林氏の著作で未読だったものだ。2は漱石を社会学から論じたもので、とても面白い。高校(筑駒)時代に、元となる着想が湧いていたというのには驚いた。

 3は若林氏の「距離と反復-クラシック音楽の生態学」が読みたかったからだが、期待通りに面白かった。

 梅雨に入って最初の週末だ。去年は梅雨入りが早くて、明けたのも7月初だったが、今年はどうなるでしょうか。

2012年6月3日日曜日

『ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ』

少し前なのだが、ジョン・ル・カレの『ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ』の新訳を読んだ。

 キム・フィルビー事件に想を得たスパイ小説としては、グレアム・グリーンの『ヒューマン・ファクター』と双璧だろう。

 細部の描写を積み重ねて、じっくり話が進んでいくこの作者の手法が、二重スパイの話によくあっている。何度読んでも堪能できる小説はなかなか無いが、この作品は数少ない中の一つだ。

 この小説を映画化した「裏切りのサーカス」は見ていない。スマイリー役の俳優が今一つイメージと違う気がしたからなのだが、いずれ機会があればDVDで鑑賞してみようか。