2007年11月24日土曜日

愛読書-1970年前後-

 最近丸谷才一氏の著作を読むことが多いのだが、最も好きな本は『たった一人の反乱』だ。この作品は1972年に発表されたのだが、読み返すたびに面白い。(特に後半の野々宮教授の演説が気に入っている。)
 ところで気づいたのだが、1970年前後に書かれた、または舞台にした作品に愛読しているものが多いようだ。あの当時の「時代の熱気」とでもいえばよい雰囲気が、どの作品にも感じられるからだろうか。

 『赤頭巾ちゃん気をつけて』(庄司薫)は1969年芥川賞、『大統領の密使』(小林信彦)は1970~1971年に「ミステリマガジン」に連載、『風の歌を聴け』(村上春樹)は1970年が舞台だ。

 この内、『大統領の密使』はオヨヨ大統領シリーズの中で最も面白いと思う。昔角川文庫で、90年代にちくま文庫に入ったのだが、どうした訳か今は絶版になっている。「”戦後”という時代への一種の鎮魂歌」という批評もあったこの優れたミステリを、多くの人に読んで欲しい。是非復刊してもらいたいものだ。

(追記)
 今日は秋晴れの良い天気だった。妻と等々力紀ノ国屋の朝市に行ったのだが、空気が澄んでいて、多少寒かったが風が無く快適だった。

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