2009年8月11日火曜日

『東京スタディーズ』のこと その2

 前回に続き、『東京スタディーズ』の「郊外を切り裂く文学」についての感想を書こう。

 この中で石原千秋氏は、住んでいる地域にある3つの小学校について次のように言う。(一部表現を変えている。なおB、C小学校がニュータウン内にある。)

 「地元住民が通学する平地にあるA小学校、主に賃貸住宅の住民が通学する丘の中腹のB小学校、主に分譲マンションと戸建て住宅の住民が通学する丘の頂上にあるC小学校がある。その学区がみごとにバームクーヘン型に区切られていて、学力も土地の高低と比例している。階層、学歴、収入、成績、そういった様々な要因がこの学区を規定している。」

 著者は、同じニュータウンにある賃貸マンションから中古マンションを購入して移っている。つまり丘の中腹から頂上へ移動した訳だ。

 しかし、小学校の学力差について明確に分かるものだろうか?これが書かれた時は、まだ学力テストは実施されていなかったし、いや実施されても学校毎の平均点は公表されないはずだ。教育委員会に知り合いがいたのだろうか?「学力が土地の高低と比例している。」と言い切っているので根拠はあるのだろうが、少し腑に落ちない感じがする。

 まあ著者の息子は桐朋中学に入っているのだが、しかしそんなに「バームクーヘン型」にきれいに分かれているものだろうか?という気はするのだが。
  

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