2009年9月27日日曜日

井上章一 『法隆寺への精神史』

 この本は今は絶版だ。今年のゴールデンウィークは図書館で借りて読んだのだが、このシルバーウィークにAmazonで古本を購入した。

 何故こんなに面白い本が絶版なのかよく分からないが(同じ弘文堂から出た『つくられた桂離宮神話』は講談社学術文庫に入っている)、あまり一般受けはしなくて売れなかったのかもしれない。

 エンタシス(円柱の中央部に膨らみをつけて立体感を付ける技法)のギリシャ起源論など、法隆寺論の歴史的変遷を丹念に追った本だが、日本文化論として秀逸だと思う。

 ただ残念なのは、著者自身の法隆寺論が展開されていないことで、この点は批判されたのか『伊勢神宮』では自らの神宮像を語っている。

 著者は関西ではTV番組に登場しているらしいが、関東でも是非見てみたいと思っているのは私だけではないだろう。(これは期待できないか。)

 

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