2009年7月26日日曜日

三浦展氏のこと

 この週末は、三浦展氏の対談集『格差社会のサバイバル術』を読んだ。この中では、本田由紀氏、香山リカ氏との対談が印象に残った。

 以下、この二人との対談での三浦氏の発言をいくつか記しておこう。

1.データをみても、男性は正社員でないと結婚するのは難しい。少子化を解決するには、男性の正社員を増やすか、「私が夫を養う」という女性を増やすかだが、まずは男性の正社員化のほうが現実的である。

 
2.中曽根元総理の小泉自民党への発言の引用
 「昔の日本人は、地域や社会、家族にしっかり属した”粘土”のようなものだった。でも今は、そういうものから離脱して”砂”のようになった。”砂”のようになった国民には、小泉君のようなポピュリズムがいちばんいい。」

3.ヤンキーは、リアルなコミュニティが基盤にある。下流ではない。コミュニティから離れ、砂のようになった存在の代表が下流。典型は、郊外の1戸建てのマイルームに引きこもっているタイプ。

4.高度成長期には、「消費」することが、単に自己の満足だけではなく、日本の復興や成長という”大きな物語”に参加することだった。しかし70年代に入って、ある程度社会が豊かになってくると、”大きな物語”というよりも、自分の身の周りの暮らしを豊かにする消費に、欲望の対象が縮小した。さらに欲望の対象が縮小していって、最後に残ったのが「自分」だった。(物語がないと自分を上手く説明できないので、「自分とは何か」を掘り下げていく。)
 

 →少子化対策で、男性正社員を増やすというのは、確かに短期的には効果があると思う。「大きな物語の終焉」は、リオタールからの引用だろうが、「自分らしさへのこだわり」の理由として説得力がある。

0 件のコメント: